タイトル
第63巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

一般市中病院においてエコーガイド下頚部リンパ節生検で次世代シーケンサーも含め安全かつ迅速に診断し得た肺癌2例

神宮 大輔1, 佐藤 幸佑1, 生方 智1, 渡辺 洋1
1宮城厚生協会坂総合病院呼吸器科

背景.進行期肺癌を正確に診断するためには全身状態および基礎疾患を踏まえつつ,必要十分量の検体を安全に採取することが重要である.症例1.73歳,男性.慢性心房粗細動,脳梗塞・両側頚動脈狭窄で抗凝固薬および抗血小板薬の内服あり.2ヵ月前からの気道症状で当科を紹介受診した.多発肺腫瘤,右鎖骨上窩リンパ節腫大を認めた.右鎖骨上窩リンパ節でエコーガイド下穿刺吸引生検を実施した.肺扁平上皮癌と診断し,次世代シーケンサー(NGS)も併用し,ドライバー遺伝子変異を確認した.症例2.68歳,男性.脳梗塞後で抗血小板薬2剤の内服あり.1ヵ月前からの気道症状で当科を紹介受診した.縦隔リンパ節の腫大による上大静脈症候群,心嚢液貯留,左内頚静脈血栓,右鎖骨上窩リンパ節腫大を認めた.右鎖骨上窩リンパ節でエコーガイド下穿刺吸引生検および半自動生検針による針生検を実施した.肺腺癌の診断に至り,NGSでドライバー遺伝子変異陰性を確認した.結論.エコーガイド下頚部リンパ節生検は侵襲的手技を躊躇するような症例においても安全に実施でき,precision medicineに向けて検体を採取することもできる.
索引用語:肺癌, エコーガイド下, 針生検, リンパ節転移, 穿刺吸引生検

受付日:2022年10月8日
受理日:2023年3月10日

肺癌 63 (3):212─216,2023

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