第63巻第4号目次 | Japanese/English |
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─ 原著 ─
呼吸器外科専門医を対象とした,胸腺上皮性腫瘍に対する術式等に関する実態調査―診療ガイドラインとの乖離はあるか―
福本 紘一1, 森 正一2, 吉岡 洋3, 岡阪 敏樹4, 谷口 哲郎5, 重光 希公生6, 成田 久仁夫7, 福井 高幸8, 中村 彰太1, 芳川 豊史11名古屋大学呼吸器外科, 2日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院呼吸器外科, 3日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院呼吸器外科, 4愛知厚生連豊田厚生病院呼吸器外科, 5小牧市民病院呼吸器外科, 6大垣市民病院呼吸器外科, 7豊橋市民病院呼吸器外科, 8愛知医科大学呼吸器外科
目的.本邦の胸腺腫瘍診療ガイドラインによれば,「臨床病期I-II期胸腺上皮性腫瘍切除手術においては,腫瘍の完全切除および胸腺摘出術を行うよう推奨する」とされているが,胸腺を全摘しない胸腺部分切除もある程度施行されているのが実情と推察される.また,術式以外の周術期診療に関してもガイドラインがどの程度参考にされているのかは不明である.方法.名古屋大学呼吸器外科教室およびその関連施設に在籍する呼吸器外科専門医を対象に,胸腺上皮性腫瘍の周術期診療(術式・術後補助療法・術後経過観察期間・術前画像評価等)に関するアンケート調査を行った.結果.30名の呼吸器外科専門医から回答を得た.重症筋無力症非合併の早期胸腺腫に対する術式は,胸腺摘出術が67%(20/30),胸腺部分切除が33%(10/30)との回答であった.術後補助療法や観察期間についてはおおむねガイドラインの推奨通りの回答であった.結論.おおむねガイドラインに沿った診療が施行されているという結果であったが,早期胸腺腫に対する術式はガイドラインで推奨されていない胸腺部分切除が1/3程度選択されていた.
索引用語:胸腺上皮性腫瘍, 術式, 胸腺摘出術, 胸腺部分切除, 診療ガイドライン
受付日:2023年2月22日
受理日:2023年3月14日
肺癌 63 (4):280─284,2023