タイトル
第63巻第4号目次 In Japanese

─ 編集後記 ─

編集後記

神田 慎太郎
信州大学医学部附属病院信州がんセンター

近年の肺癌の治療は他癌種よりも分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬の恩恵を受けて大きく進歩していますが,その進歩が他癌種よりも先に肺癌にもたらした課題も多くあります.そのひとつが,分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬といった有効かつ高価な薬剤が日本の医療経済にもたらす影響であり,後藤先生が総説で解説してくださいました.また,がんゲノム医療において,治療法略の構築に必要なドライバー遺伝子変化を検出するマルチプレックス検査の確実性・効率にはまだ課題がありますが,東山先生らの原著論文は新たに実用化された肺がんコンパクトパネルTMの感度や効率について言及されており,我々の肺癌診療に役立つものです.また,胸部腫瘍には非小細胞肺癌の治療の進歩の陰でまだ標準治療が確立していない稀少分画が存在しており,そのうち胸腺上皮腫瘍に対する手術について福本先生らが,多形癌について半田先生らが,それぞれ原著論文で新しい知見を提供されています.本誌は今号でも症例報告も含めて,胸部腫瘍の日常診療で突き当たる,臨床試験の結果だけでは判断できないクリニカルクエスチョンの解決の参考となる知見を掲載しています.「肺癌」では引き続き皆様の投稿をお待ちしております.

肺癌 63 (4):336─336,2023

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