タイトル
第63巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

精索や腹膜にも病変を有し,イピリムマブ+ニボルマブ併用療法が奏効した悪性胸膜中皮腫の1例

鶴賀 龍樹1, 藤本 源1, 江角 征哉1, 江角 真輝1, 辻 愛士1, 八木 昭彦1, 岡野 智仁1, 都丸 敦史1, 小林 哲1, 浅山 健太郎2
1三重大学医学部附属病院呼吸器内科, 2鈴鹿中央総合病院呼吸器内科

背景.悪性中皮腫は非常に予後不良な疾患であり選択できる薬物療法も限られている.悪性胸膜中皮腫に関しては近年ニボルマブ,ついでイピリムマブ+ニボルマブ併用療法が本邦でも承認され高い治療効果を得ている.一方で同じ病態と考えられるその他の悪性中皮腫に関して免疫チェックポイント阻害薬は承認されていないのが実情である.症例.72歳男性.両側鼠径部腫瘤の増大を主訴に近医受診,腫大している精索を両側とも生検され病理学的に悪性中皮腫と診断された.集学的治療目的に当院紹介となったが胸膜および腹膜にも病変を有しており全身薬物療法の方針となった.シスプラチン+ペメトレキセド療法にて一時は病勢の制御が得られたが,その後CT検査で右胸膜肥厚の増大,右胸水の増加,精索病変の増大を認め再発と診断,新規にイピリムマブ+ニボルマブ併用療法を導入した.精索病変は縮小を維持したが胸膜病変は制御できず,その後ビノレルビン療法を行ったが奏効は得られなかった.結語.今回精索や腹膜にも中皮腫病変を有し,イピリムマブ+ニボルマブ併用療法が奏効した悪性胸膜中皮腫の1例を経験したので報告する.
索引用語:悪性精索中皮腫, 悪性胸膜中皮腫, 悪性腹膜中皮腫, イピリムマブ, ニボルマブ

受付日:2023年5月29日
受理日:2023年6月22日

肺癌 63 (6):887─891,2023

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