タイトル
第63巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

増大傾向を示した右下葉ciliated muconodular papillary tumorの1例―自験例の10例の検討―

篠原 周一1, 鈴木 あゆみ1, 瀬戸 克年1, 高橋 祐介1, 坂倉 範昭1, 佐々木 英一2, 真砂 勝泰2, 黒田 浩章1
愛知県がんセンター病院 1呼吸器外科, 2遺伝病理診断部

背景.細気管支腺腫/線毛性粘液結節性乳頭状腫瘍(bronchiolar adenoma/ciliated muconodular papillary tumor:BA/CMPT)は稀な良性腫瘍であるが,Computed tomograpy(CT)経過などについては不明な点が多く,悪性との鑑別が重要である.今回,CTで1.5年間の経過観察を行い,増大傾向を認めた1例を経験したので報告する.症例.症例は67歳男性,1年6ヵ月前にCTで右下葉小結節を指摘され経過観察されていたが,1年6ヵ月後のCTで増大傾向を認め,手術の方針となった.インジゴカルミン・リピオドールによるCTガイド下マーキングを実施したのちに,右下葉部分切除術を行った.詳細な病理組織学的検討の結果,BA/CMPTと診断された.自験例の10例についての臨床背景,CTの経過,遺伝子変異の特徴についてまとめ,報告を行った.結論.増大傾向を認めたBA/CMPTの1例を経験した.BA/CMPTは稀な組織型であり,CTで増大傾向を示し,ドライバー遺伝子変異を認める悪性のポテンシャルを有する症例もあり,悪性との鑑別が極めて重要である.
索引用語:線毛性粘液結節性乳頭状腫瘍, 遺伝子変異, 良性, CT

受付日:2023年3月28日
受理日:2023年7月3日

肺癌 63 (6):892─896,2023

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