タイトル
第63巻第6号目次 In Japanese

─ 編集後記 ─

編集後記

楠本 昌彦
国立がん研究センター中央病院 放射線診断科

今年の夏は,気象庁開設以来の最も暑い夏だったようですが,10月に入ってようやく涼しくなりました.これも地球温暖化が進んでいることの証なのでしょう.さて,今回の学会誌「肺癌」では,Invited review articleが2編掲載されています.1編は中皮腫診断における分子病理で,WHO2021分類の概略,遺伝子変異に基づく形態学的アッセイ,中皮腫瘍および中皮腫亜型と遺伝子変異などについて解説いただきました.もう1編は,肺癌術後放射線治療に関するもので,手術と放射線治療による最適な局所治療の確立を見据えた考え方を外科医の立場から解説いただきました.Review articleとしては,肺癌oligometastasesおよびoligo-recurrenceに対する外科治療の現状について,高精度放射線治療や低侵襲手術が普及した現状での新しい考え方に基づいて解説されています.原著論文は中皮腫を発症した患者の経済的困窮の自覚と年齢の関連について,就労状況の変化に着目して検討した論文で,経済的困窮は中皮腫発症後に休職している患者,救済制度の認定を受けている患者に発生しやすいことを明らかにしています.Case reportsには,6編の論文が掲載され,まれな肺腫瘍に関するもの3編,治療が奏功した肺癌や治療合併症に関するものが3編です.学会誌「肺癌」は,肺癌に関する和文誌で重要な位置を占めています.引き続き会員の皆様からの積極的な投稿をお待ちしております.

肺癌 63 (6):928─928,2023

ページの先頭へ