タイトル
第63巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

ペムブロリズマブ耐性後にカルボプラチン,ナブパクリタキセル併用療法が奏効した透析中の肺扁平上皮癌の1例

佐井 那月1, 千原 佑介2, 髙橋 祐希2, 福井 基隆2, 齊藤 昌彦2
1京都府立医科大学大学院呼吸器内科学, 2宇治徳洲会病院呼吸器内科

背景.慢性腎不全や透析を要する重度の腎機能障害を合併している非小細胞肺癌患者は治療選択肢が限られており,標準治療が行えず予後が厳しい事が多い.症例.70歳,男性.慢性腎不全で腎臓内科通院中に肺扁平上皮癌cT2aN1M0 stage IIBの診断となり胸腔鏡下左上葉切除が行われた.1年後に肝転移による再発となり,PD-L1が高発現であった事からペムブロリズマブが導入された.治療中に腎不全が進行したため透析が導入され治療が継続され,部分奏効が得られたが,11コース後に肝転移の増大で進行と判断された.2次治療としてカルボプラチン,ナブパクリタキセルを開始したところ,部分奏効が得られ4コースを施行する事ができた.貧血に対する輸血を必要としたが有害事象は管理可能で3コース目以後は外来で継続が可能であった.結論.カルボプラチン,ナブパクリタキセルは,透析患者を対象としたペムブロリズマブ耐性後の2次治療としても有効で忍容性のある治療法の可能性があると考えられた.
索引用語:非小細胞肺癌, 透析, カルボプラチン, ナブパクリタキセル

受付日:2023年7月11日
受理日:2023年9月15日

肺癌 63 (7):995─999,2023

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