第64巻第2号目次 | Japanese/English |
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─ 総説 ─
肺癌粒子線治療の進歩
久保 亘輝1, 大野 達也11群馬大学大学院医学系研究科腫瘍放射線学
粒子線治療(陽子線治療,重粒子線治療)は放射線治療の一種であり,治療施設数は世界的に大幅に増加している.本邦は粒子線治療施設数が多く,更には2016年からは全例の前向き登録試験を開始している.近年,この前向き登録によるデータからI期肺癌の良好な治療成績がreal worldのデータとして報告されている.また臨床現場で治療方針に難渋することが多い間質性肺疾患合併肺癌に対して比較的安全に治療できることが報告されている.局所進行肺癌に対する粒子線治療に関しては特に免疫療法併用時の成績はまだ検討段階である.免疫療法併用困難となる肺臓炎の抑制や,局所制御の向上などが粒子線治療には期待されている.これまで明らかにされている知見とともに今後の肺癌に対する粒子線治療の展望に関して述べたい.
索引用語:粒子線治療, 陽子線治療, 炭素イオン線治療, 非小細胞肺癌
肺癌 64 (2):63─69,2024