タイトル
第64巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

進行・再発非小細胞肺癌初回治療選択時の説明に対する患者・医師への意識調査:患者の希望と医師の認識の相違

中川 和彦1, 長谷川 一男2, 米澤 晴美2, 三浦 萌実3, 谷澤 欣則4, 松井 朋子4, 大佐賀 智4, 江夏 総太郎4
1近畿大学病院がんセンター, 2NPO法人肺がん患者の会ワンステップ, 3株式会社社会情報サービス, 4日本イーライリリー株式会社研究開発・メディカルアフェアーズ統括本部

目的.進行・再発非小細胞肺癌患者および診療医を対象に,初回治療選択時の説明の実態・認識を明らかにする.方法.患者・医師にオンライン調査を実施し,設問ごとに要約統計量を算出した.結果.患者182名(年齢中央値55歳,女性64%),医師217名から回答を得た.患者と医師の認識に相違が認められ,「治療法の説明を受けて理解を深めたい」,「治療の可能性を知って希望を持ったり前向きに考えたりしたい」,「知るべき情報を知った上で治療選択し後悔しないようにしたい」に5段階評価で「とてもそう思う」または「そう思う」と回答した患者の割合(96%,95%,95%)は,医師(79%,79%,73%)より高かった.一方,「いろんな情報を聞くのは精神的に負担だ」,「説明されても理解できない」は,医師(50%,46%)に比べ患者(24%,11%)で低かった.結論.医師の想定よりも患者は治療選択肢を理解し自ら選択したいと考えていた.患者が後悔しない治療を選択するために,医師,患者双方の努力で共同意思決定を推進していく必要がある.
索引用語:初回治療, 非小細胞肺癌, 患者の選好, 共同意思決定, 治療選択

受付日:2023年9月19日
受理日:2023年12月1日

肺癌 64 (2):70─82,2024

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