タイトル
第64巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

ロルラチニブの中枢神経系副作用への対応に関する提言

久保田 馨1, 栁谷 典子2, 市原 英基3, 大久保 翼4, 明智 龍男5
1日本医科大学呼吸ケアクリニック臨床腫瘍部門, 2がん研究会有明病院呼吸器内科, 3岡山大学病院腫瘍センター, 4ファイザー株式会社オンコロジー部門メディカル・アフェアーズ部, 5名古屋市立大学大学院医学研究科精神・認知・行動医学分野

目的.ロルラチニブは未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)チロシンキナーゼ阻害剤であり,国際共同第III相試験では高い有効性が示され,ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌の治療に用いられている.本剤に特徴的な副作用として,認知機能障害,言語障害,気分障害,幻覚などの中枢神経系症状があり,発現時には重症度に応じて休薬や減量が必要となる.本剤を処方する呼吸器科医やオンコロジストは,中枢神経系症状に対する診断や治療を注意深く行うことが望まれる.そのため,本剤の中枢神経系副作用発現時の対応について検討を行い,指針を作成した.方法.本剤投与中に中枢神経系症状を発現した患者に対する精神科医による診断と重症度の見解を踏まえ,呼吸器内科医および精神科医が対応を検討した.結果.本剤の副作用である中枢神経系症状の診断や管理の実効性,患者の日常生活への影響などを考慮し,投与開始前から中枢神経系症状発現時の対応までのフローチャートを作成した.結論.ロルラチニブによる中枢神経系症状発現時には患者の日常生活への影響を評価し,休薬や減量などの適切な対応を行う.日常生活への影響が大きい場合には精神科医の診断を受けることを提言する.
索引用語:ロルラチニブ, 薬物有害反応(ADRs), 非小細胞肺癌(NSCLC), 中枢神経系症状

受付日:2023年12月6日
受理日:2024年1月18日

肺癌 64 (2):83─88,2024

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