タイトル
第64巻第2号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (757K)
Article in Japanese

─ 症例 ─

前縦隔に発生した炎症性筋線維芽細胞性腫瘍(inflammatory myofibroblastic tumor:IMT)の1例

斉藤 彰俊1, 後藤 千嘉2, 中山 かおり1, 小山 敏雄3
1山梨県立中央病院放射線診断科, 2山梨大学医学部附属病院放射線医学講座, 3山梨県立中央病院病理診断科

背景.炎症性筋線維芽細胞性腫瘍(inflammatory myofibroblastic tumor:IMT)は稀な腫瘍であり,前縦隔に発生した報告は数少ない.症例.60歳代女性.検診の胸部X線写真にて,右第1弓の突出を指摘された.胸部造影CTでは,前縦隔右側に,長径74 mmの境界明瞭な腫瘤が認められた.腫瘤は上行大動脈と密に接し,心外膜までの浸潤が疑われた.造影効果は,早期相から全体に,やや不均一に認められた.MRIの脂肪抑制併用T2強調像では,辺縁が優位に低信号域を伴う,不均一な高信号を呈していた.FDG-PET/CTでは,腫瘤の中心部優位にFDG集積(SUVmax:5.46)が認められた.浸潤性胸腺腫(III期)が疑われ,胸骨正中切開縦隔腫瘍切除+心膜合併切除+右横隔神経合併切除を施行した.病理組織学的には,炎症細胞浸潤や組織球を背景として紡錘形細胞がやや疎に分布していた.免疫染色はα-SMAが陽性であった.以上より,IMTと診断された.結論.前縦隔腫瘍で,MRIにて線維成分の混在を疑わせるT2WI低信号域を認めた場合,またSUVmaxの低いFDG集積を認めた場合,活動性の低いIMTが鑑別となりうる.
索引用語:炎症性筋線維芽細胞性腫瘍, 前縦隔腫瘍

受付日:2023年10月6日
受理日:2023年12月27日

肺癌 64 (2):113─117,2024

ページの先頭へ