タイトル
第61巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

免疫関連有害事象逆引きマニュアルの有用性

野口 哲男1, 中川 雅登1, 高木 順平1, 上林 憲司1, 奥野 翔子2, 三由 僚2, 田久保 康隆2
市立長浜病院 1呼吸器内科, 2呼吸器外科

目的.免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による免疫システムの過剰活性化は,免疫関連有害事象(irAE)を起こす.標準のirAEマニュアルは病名,検査,治療という流れである.我々はirAEの症状から病名を推定するirAE逆引きマニュアルを作成した.方法.irAEの重要度の高い症状を8つ選択した(発熱,吐き気,意識レベル低下,倦怠感,呼吸困難,腹痛,頭痛,手足の脱力).当該症状があれば追加質問して疑わしい病名を推定する.それ以後は標準のirAEマニュアルを使用することができる.8つの仮想症状,正解病名を準備して,4名の研修医でirAE逆引きマニュアルの有用性を検証した.彼らにirAE逆引きマニュアルありとなしで仮想症状に追加質問して病名を答えるように求めた.結果.irAE逆引きマニュアルなしの場合,4名とも正答率は低く(0~25%),解答までの時間は長かった(6~12分).一方irAE逆引きマニュアルありの場合,4名とも正答率は高く(75~100%),解答までの時間は短かった(2~3分).結論.irAE逆引きマニュアルはirAE病名を短時間で推定するのに有用なツールである.
索引用語:免疫チェックポイント阻害薬(ICI), 免疫関連有害事象(irAE), irAE逆引きマニュアル, 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)

受付日:2020年7月28日
受理日:2020年10月12日

肺癌 61 (1):17─23,2021

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