日本呼吸器学会雑誌 ONLINE JOURNAL

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Article in Japanese

症 例

喫煙チャレンジテストが陽性であり,健康食品の関与も疑われた急性好酸球性肺炎の一例

中西 正教1), 岡村 誠太郎1), 出村 芳樹2), 石崎 武志3), 宮森 勇2), 伊藤 春海4)

〒914-0144 福井県敦賀市桜ヶ丘33-1
1)国立療養所敦賀病院内科, 2)福井医科大学第3内科, 3)福井医科大学看護学科, 4)福井医科大学放射線科

要 旨

症例は17歳女性.発熱と急速に進行する呼吸困難,低酸素血症で入院となった.胸部レントゲン写真と HRCT では両肺に広範なスリガラス影,浸潤影,Kerley line,両側胸水を認めた.気管支肺胞洗浄液では顕著な好酸球増多(41.9%)を認め,経気管支肺生検では肺胞壁の浮腫と好酸球浸潤を認め,急性好酸球性肺炎と診断した.ステロイド治療にて症状と胸部レントゲン写真所見は速やかに改善した.患者は入院の約3カ月前より喫煙と健康食品(商品名キトサン)の常用を始めていた.喫煙チャレンジテストとキトサンに対する薬剤リンパ球刺激テストはともに陽性を示し,喫煙と健康食品両方の関与が考えられた.また,本症例は入院時の血清と BALF 中のIL-5,血清中の G-CSF と BALF 中の好中球が高値を示し,急性好酸球性肺炎の改善後は低値となり,急性好酸球性肺炎の発症にIL-5,G-CSF は重要な関与があると考えられた.

キーワード:急性好酸球性肺炎, 喫煙チャレンジテスト, 薬剤リンパ球刺激テスト, IL-5, G-CSF

受付日:平成12年8月2日

日呼吸会誌, 39(5): 357-358, 2001