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Article in Japanese

症 例

腫瘤状陰影を呈しミノサイクリンが奏効しなかった肺炎マイコプラズマ肺炎の1例

小野寺 晃彦, 矢崎 憲二, 伊藤 武史, 佐藤 一洋

〒015-8511 秋田県本荘市川口字家後38
由利組合総合病院呼吸器科

要 旨

症例は16歳,女性で,1週間前から咳嗽が次第に増強し高熱を伴い入院した.胸部X線写真にて右上肺野内側に腫瘤状陰影を認めた.胸部CTでは右上葉に内部が比較的均一の,80×60mm大の不整形腫瘤状陰影を認めた.血清学的に肺炎マイコプラズマIHA抗体価の上昇を認め,肺炎マイコプラズマ肺炎と診断した.ミノサイクリンの静脈内投与を開始し,4日目からはレボフロキサシンを併用したが,状態改善しなかった.7日目からミノサイクリンをエリスロマイシンに変更した結果,徐々に軽快した.肺炎マイコプラズマ肺炎には腫瘤状陰影を呈する症例があることも留意しておくべきと考えられた.

キーワード:肺炎マイコプラズマ肺炎, 腫瘤状陰影, エリスロマイシン, ミノサイクリン

受付日:平成14年3月15日

日呼吸会誌, 40(10): 837-839, 2002