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Article in Japanese

症例

胸膜癒着術が有効であった関節リウマチに伴う胸膜アミロイドーシスの難治性胸水

増永 愛子1), 竹田 奈穂子1), 赤池 公孝1), 津守 香里2), 後藤 英介1), 一安 秀範1), 興梠 博次1)

〒860-8556 熊本市本荘1-1-1
1)熊本大学医学部附属病院呼吸器内科
2)熊本赤十字病院呼吸器内科

要 旨

関節リウマチに伴う続発性アミロイドーシスの標的臓器は消化管,腎臓等の報告が多く,胸膜病変は非常に稀である.今回,我々は,関節リウマチの経過中に難治性胸水を認め,胸膜生検で胸膜アミロイドーシスと診断した症例を経験した.症例は77歳,男性.67歳時に関節リウマチと診断.75歳から原因不明の両側胸水貯留を繰り返した.胸腔鏡下左胸膜生検を施行し慢性炎症の所見であったため,リウマチ性胸膜炎と診断された.副腎皮質ステロイドを増量されるも改善が得られず,右気胸も合併したため当院紹介となった.胸水の原因検索目的で胸膜生検組織をCongo red染色したところ,胸膜アミロイドーシスと診断された.難治性胸水および気胸の治療として,自己血とOK-432の併用による胸膜癒着術が有効であった.胸膜アミロイドーシスは非常に稀であり,その胸水貯留は難治であるとされるが,胸膜癒着術にて改善し得た貴重な症例として報告する.

キーワード:関節リウマチ, 続発性アミロイドーシス, 難治性胸水, 胸膜生検, 胸膜癒着術

受付日:平成23年3月9日

日呼吸会誌, 49(12): 897-902, 2011