日本呼吸器学会雑誌 ONLINE JOURNAL

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Article in Japanese

症例

中後縦隔に病変を認めた全身性IgG4関連疾患の1例

真木 幸代1), 高倉 晃1), 日吉 康弘1), 横場 正典2), 益田 典幸1), 片桐 真人2)

〒252-0374 相模原市南区北里1-15-1
1)北里大学医学部呼吸器内科学
2)北里大学医療衛生学部

要 旨

症例は62歳男性.胸部CTで中後縦隔病変を指摘され,当院を受診した.MRIで下垂体,眼窩筋円錐外側部,涙腺,耳下腺の腫大を認め,CTでは中後縦隔,肺野,肺門リンパ節,腎盂尿管周囲に病変を認めた.高IgG4血症の存在と涙腺組織で多数のIgG4陽性形質細胞浸潤を認めたことから,全身性IgG4関連疾患と診断した.診断後,ステロイド治療を開始し,ほぼ全ての病変が改善した.これまで全身性IgG4関連疾患における胸部病変では,中後縦隔病変を認めた症例はわずかである.

キーワード:中後縦隔病変, IgG4関連疾患, IgG4陽性形質細胞

受付日:平成23年3月18日

日呼吸会誌, 49(12): 908-912, 2011