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Article in Japanese

症例

保存的治療中に有瘻性膿胸となり開窓術とEWSによる気管支充填術が有用であった1例

村西 佑介, 上島 康生

〒605-0981 京都市東山区本町15丁目749番地
京都第一赤十字病院呼吸器外科

要 旨

症例は79歳男性.25歳時に肺結核の既往がある.2008年11月に発熱にて受診し胸部単純X線,胸部CTにて右結核性慢性膿胸の所見を認めた.抗生剤による治療を行ったが改善せず,2009年5月のCTにて膿胸腔にニボーが出現し上葉気管支との交通を認め入院となった.右膿胸腔開窓術,醸膿胸膜切除術を施行したが気管支瘻のため腔の洗浄が困難であった.そこでEndobronchial Watanabe Spigot(EWS)による気管支充填術を施行し,気管支瘻再発のために2度の再治療を要したもののその後慎重に膿胸腔洗浄続けたところ,瘻孔閉鎖,菌陰性化とすることができた.2010年4月に大網,筋充填,部分胸郭成形術を施行した.その後膿胸再発を認めていない.気管支充填術は難治性有瘻性慢性膿胸に対し気管支瘻閉鎖,膿胸腔清浄化に有用であり根治術の成功率を高められると考えられた.

キーワード:Endobronchial Watanabe Spigot(EWS), 結核性有瘻性慢性膿胸, 気管支瘻, 気管支充填術

受付日:平成23年3月28日

日呼吸会誌, 49(12): 917-921, 2011