日本呼吸器学会雑誌 ONLINE JOURNAL
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Article in Japanese
症例
ステロイド投与中止で増悪した新型インフルエンザ肺炎による急性呼吸促迫症候群の1例
日比野 真, 赤澤 賢一郎, 引野 幸司, 大江 元樹
〒253-0052 神奈川県茅ケ崎市幸町14-1
茅ヶ崎徳洲会総合病院呼吸器内科
要 旨
72歳男性．乾性咳嗽を認め（第1病日），次第に発熱，呼吸苦，血痰を呈し第10病日に来院．低酸素血症と胸部CT検査で両側浸潤影とすりガラス影を認め，肺炎からの成人呼吸促迫症候群の診断にて同日から人工呼吸器管理となった．インフルエンザウィルス迅速抗原検査は前医を含め3回陰性であったが，ペラミビルを用い，抗菌薬とステロイドを併用した．同日に行った気管支洗浄液は血性で有意菌は同定されず，新型インフルエンザウィルス感染がReal time reverse-transcriptase polymerase chain reactionで確認された．第15病日に抜管し，第22病日にステロイドを，第23病日に抗菌薬を中止した．しかし第28病日に発熱，胸膜痛，呼吸苦と浸潤影の増悪を認めた．第31病日の気管支肺胞洗浄液は淡血性でリンパ球優位の細胞増多があったため，インフルエンザ肺炎の増悪と考えステロイドと抗菌薬の再投与を行ったところ改善した．重症新型インフルエンザ肺炎に対してのステロイド投与に関して文献的考察を加え報告する．
キーワード：新型インフルエンザ, インフルエンザウィルス肺炎, 出血性肺炎, 呼吸促迫症候群, 糖質ステロイド
受付日：平成23年4月28日
日呼吸会誌, 49(12): 955-963, 2011
