日本呼吸器学会雑誌 ONLINE JOURNAL

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Article in Japanese

症例

乳び胸の漏出部位の同定に局所麻酔下胸腔鏡と胸管シンチグラムが有用であった1例

石井 聡1), 竹田 雄一郎1), 窪田 和雄2), 平野 聡1), 放生 雅章1), 杉山 温人1), 小林 信之1)

〒162-8655 東京都新宿区戸山1-21-1
1)国立国際医療研究センター病院呼吸器内科
2)国立国際医療研究センター病院放射線核医学科

要 旨

症例は74歳女性.労作時呼吸困難を主訴に来院.胸部レントゲンにて右胸水を認め,胸腔穿刺にて乳白色の胸水を認め,乳び胸の診断基準を満たした.乳び胸の原因としては悪性リンパ腫・アミロイドーシス・外傷などが鑑別に挙がった.ペースメーカー挿入・透析・糖尿病などの合併症があることより,全身麻酔下胸腔鏡ではなく局所麻酔下胸腔鏡を原因精査目的に施行した.胸腔内を観察したが,壁側胸膜に明らかな腫瘤などは認めなかった.下葉と胸壁が一部癒着しており,その部位から乳白色の胸水が漏出してくるのが確認できた.その後,胸管シンチグラムを施行し右肺門付近にリークポイントに相当する部位を確認した.結論.乳び胸の原因精査,治療は全身麻酔下胸腔鏡で行うべきであるが様々な合併症があり困難な場合は局所麻酔下胸腔鏡・胸管シンチグラムなどを組み合わせることにより精査が可能である.

キーワード:局所麻酔下胸腔鏡, 乳び胸, 胸管シンチグラム

受付日:平成23年5月30日

日呼吸会誌, 49(12): 976-980, 2011