日本呼吸器学会雑誌 ONLINE JOURNAL

書誌情報

 Full Text of PDF (448k)
Article in Japanese

症例

プレドニゾロンが症状の改善に有効であった原発性滲出性リンパ腫の1例

清水 崇, 岡島 正明, 清水 夏恵, 諸橋 数昭, 小原 竜軌, 外山 譲二

〒943-8507 新潟県上越市大道福田148番地1
上越総合病院呼吸器内科

要 旨

原発性滲出性リンパ腫は体腔内浸出液を初発とするまれな悪性リンパ腫で,通常はhuman herpesvirus 8に関連があるとされる.今回我々は,93歳男性でhuman herpesvirus 8陰性の原発性滲出性リンパ腫の1例を経験した.胸部CTで両側胸水が認められたが,明らかな腫瘤形成やリンパ節腫大などは認められなかった.胸水の細胞診では異型リンパ球を認め,それらの細胞表面抗原はCD10,CD19,CD20が陽性であった.サザン解析で免疫グロブリン遺伝子の再構成が認められたため原発性滲出性リンパ腫と診断したが,高齢のため化学療法は行うことができなかった.胸水の増量とともに呼吸困難と低酸素血症が進行したが,ステロイドの投与を行ったところ症状や胸水の改善が得られた.本例はプレドニゾロンが症状の改善に有効であった原発性滲出性リンパ腫の症例であり報告する.

キーワード:原発性滲出性リンパ腫, 胸水, 異型リンパ球, 悪性リンパ腫, プレドニゾロン

受付日:平成23年6月14日

日呼吸会誌, 49(12): 981-985, 2011