日本呼吸器学会雑誌 ONLINE JOURNAL

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Article in Japanese

症 例

背部痛を初発症状とした Desmoplastic Malignant Pleural Mesothelioma の1例

富永 正樹, 田中 将英, 福岡 麻美, 河島 通博, 八並 淳, 中原 快明, 青木 洋介, 林 真一郎

〒849-8501 佐賀市鍋島5-1-1 佐賀医科大学内科

要 旨

症例は71歳,女性.背部痛を主訴に受診し,神経痛と診断され加療されるも改善なく,症状が徐々に進行したため他医を受診した.胸部CT検査を施行したところ,胸椎に浸潤する腫瘍性病変を指摘され当院に紹介された.胸腔鏡下生検で腫瘍の一部を切除し,病理学的に検討した.腫瘍は紡錘型細胞に富む膠原線維が storiform pattern を形成しつつ肺内に浸潤するように増殖しており,Desmoplastic Malignant Pleural Mesothelioma と診断された.放射線治療及び化学療法施行するも全く効果なく,現在対症療法のみで経過観察中である.Desmoplastic Malignant Pleural Mesothelioma は症例数が少なく,また,脊椎浸潤による背部痛を初発症状とする症例は検索した限りでは認められず,稀であると思われたため報告した.

キーワード:線維形成性悪性胸膜中皮腫, 椎体浸潤

受付日:平成12年7月4日

日呼吸会誌, 39(5): 347-350, 2001