日本呼吸器学会雑誌 ONLINE JOURNAL

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Article in Japanese

症 例

発熱とびまん性間質影を呈して急性増悪した肺サルコイドーシスの一例

柳川 崇1), 岡田 淳子1), 持田 昌彦1), 安藤 常浩1), 生島 壮一郎1), 折津 愈1), 秋山 修2), 武村 民子3)

〒150-0012 東京都渋谷区広尾4-1-22
1)日本赤十字社医療センター呼吸器内科, 2)同 第5内科, 3)同 病理部

要 旨

症例は64歳の女性.1992年6月虹彩炎,胸部レ線像,ツベルクリン反応陰性等よりサルコイドーシスと診断されたが,H-J II 度の息切れと39℃ 台の発熱のため1994年2月入院した.入院後発熱は37℃ 台であったが著明な低酸素血症を認めた.胸部レ線では両側びまん性網状粒状影,CTでは背側優位の肺野濃度上昇を認めた.気管支肺胞洗浄ではリンパ球増加と CD4/CD8比の高値を認め,経気管支肺生検ではリンパ球主体の胞隔炎と胞隔,肺胞腔内に肉芽腫の増殖像がみられた.サルコイドーシスの増悪と考えプレドニゾロン40mg にて治療し呼吸状態と画像所見は改善したがプレドニゾロン減量に伴い再悪化した.メソトレキセート7.5mg の週一回内服を併用しステロイド剤減量に成功した.発熱とびまん性間質影を伴い呼吸不全に陥るサルコイドーシス症例は稀であり,本症における免疫抑制剤の使用についても併せて文献的考察を行った.

キーワード:サルコイドーシス, 発熱, びまん性間質性陰影, メソトレキセート

受付日:平成12年8月16日

日呼吸会誌, 39(5): 377-382, 2001