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Article in Japanese

症 例

肺結核治療中に改善を示した肺胞蛋白症の1例

大成 洋二郎, 山岡 直樹, 谷脇 雅也, 中尾 涼子, 村井 博, 寺田 満和, 倉岡 敏彦

〒730-0822 広島市中区吉島東三丁目2番33号
国家公務員共済組合連合会吉島病院内科

要 旨

症例は32歳,男性.肺胞蛋白症のため1995年5月よりAmbroxolの投与と頻回の気管支肺洗浄を施行されていたが効果に乏しく治療に難渋していた.2000年7月より発熱,咳嗽が出現し喀痰検査より抗酸菌塗沫ガフキー2号,結核菌PCR法陽性となり肺結核症と診断され当院に入院となった.入院後に抗結核剤の投与を行ったところ,肺結核症の改善に伴い肺胞蛋白症の改善も認めたが,抗結核剤の中止後は再び悪化傾向にある.肺胞蛋白症と肺結核症が合併した症例の報告は比較的少なく,肺胞蛋白症に対する抗結核剤の効果,気管支肺洗浄の効果についてもさまざまな治療経過が報告されている.両者を合併した症例での治療方法については今後の症例の集積が必要であると考えた.

キーワード:肺胞蛋白症, 肺結核症, 抗結核剤

受付日:平成14年8月2日

日呼吸会誌, 41(6): 392-396, 2003