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Article in Japanese

症 例

肺のinflammatory pseudotumorの4例

原田 泰志1), 渡辺 憲太朗1), 岩崎 昭憲2), 白日 高歩2), 岩崎 宏3), 吉田 稔1)

〒814-0180 福岡市城南区七隈7-45-1
1)福岡大学病院呼吸器科
2)同 第2外科
3)同 病理部

要 旨

1985年から2001年までに当院に入院した症例において外科的切除後に病理学的に肺のinflammatory pseudotumorと診断された4例の臨床,画像所見を検討した.症例は30歳男性,51歳女性,59歳男性,73歳女性の4例である.全症例が胸部X線写真を撮影することにより発見され,1名は肺癌の術後であった.胸部X線所見上,単発性腫瘤は1例,多発性3例であり従来の報告に比べ多発性が多くみられた.CT検査は3例に行われた.結節はいずれも辺縁不整な類円型であり,いずれの症例においても少なくとも1つの結節は胸膜に接して存在していた.術前診断は肺癌もしくは転移性肺腫瘍であった.組織学的には全例がMatsubaraらの分類によるfibrous histiocytoma typeであった.Anaplastic Lymphoma Kinase(ALK)蛋白の免疫染色では1例(症例1)のみ弱陽性であった.症例4(73歳女性)は5年前に多発性の結節が見つかっており,結節の1つを生検した後,残りの小結節が増大し再度生検され診断が確定した.肺のinflammatory pseudotumorは肺癌と類似した画像所見を呈し術前診断が困難である場合が少なくない.

キーワード:炎症性偽腫瘍, 器質化肺炎

受付日:平成14年9月27日

日呼吸会誌, 41(6): 402-406, 2003