日本呼吸器学会雑誌 ONLINE JOURNAL

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Article in Japanese

原著

ステロイド療法中の間質性肺炎患者に発症したニューモシスチス肺炎の臨床的検討

榎本 達治1)2), 吾妻 安良太2), 松本 亜紀2), 根井 貴仁2), 平松 久弥子2), 阿部 信二2), 臼杵 二郎2), 工藤 翔二2)

〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿2-34-10
1)東京都立広尾病院呼吸器科
2)日本医科大学内科学第4講座

要 旨

1997年7月から2003年9月に,日本医科大学付属病院呼吸器内科を受診し,間質性肺炎の治療目的で,プレドニゾロン(PSL)換算で0.5 mg/kg以上の副腎皮質ステロイドを3週間以上投与された74例を対象として,ステロイド療法中の間質性肺炎患者に発症したニューモシスチス肺炎の臨床的検討を行った.ニューモシスチス肺炎は7例に発症した.発症時期は治療開始後平均71日,発症時平均投与量はPSL換算で平均37 mgであり,ステロイド減量中に発症した.発症時の末梢血CD4陽性リンパ球数は平均370/μlで,3例は200/μl以上であった.ニューモシスチス肺炎発症群はステロイド療法開始4週後の末梢血リンパ球数が低値を示した.ST合剤の予防投与例で,ニューモシスチス肺炎を発症した例はなかった.ステロイド療法中の間質性肺炎患者において,ニューモシスチス肺炎は注意するべき合併症であり,末梢血CD4数200/μl以上でも発症する可能性があり,ST予防投与は有用であると考えられた.

キーワード:間質性肺炎, ニューモシスチス肺炎, 末梢血CD4陽性リンパ球数, ST予防投与, β-D-グルカン

受付日:平成17年5月16日

日呼吸会誌, 43(12): 725-730, 2005