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Article in Japanese

原著

横紋筋融解症を合併した市中肺炎

高柳 昇, 徳永 大道, 窪田 素子, 原 健一郎, 斎藤 大雄, 生方 幹夫, 倉島 一喜, 柳沢 勉, 杉田 裕

〒360-0105 埼玉県大里郡江南町板井1696
埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科

要 旨

入院市中肺炎症例における,横紋筋融解症の頻度,原因微生物,合併症について検討した.対象は血清CPKを測定した594例である.横紋筋融解症を伴った症例は25例(4.2%)であった.原因微生物の内訳はレジオネラ菌11例(44%),インフルエンザウイルス6例(24%),肺炎球菌4例(16%),オウム病クラミジア3例(12%),肺炎マイコプラズマ2例(8%),不明3例(12%)(4名は複数の原因微生物感染)であった.原因微生物別の横紋筋融解症合併率はレジオネラ菌26.8%(11/41例),オウム病クラミジア21.4%(3/14例),インフルエンザウイルス9.5%(6/63例),肺炎球菌4.7%(4/85例),肺炎マイコプラズマ3.1%(2/65例)であった.血清クレアチニンが1.5 mg/dl以上に上昇した例は6例(24%)であり,1例は透析を要した.横紋筋融解症を合併した市中肺炎例の原因微生物として,上記5菌種を考慮すべきである.

キーワード:横紋筋融解症, 市中肺炎, レジオネラ肺炎, 腎機能障害

受付日:平成17年5月18日

日呼吸会誌, 43(12): 731-735, 2005