日本呼吸器学会雑誌 ONLINE JOURNAL

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Article in Japanese

原著

リアルタイムPCRを用いた抗酸菌群検査キット(コバスTaqMan®)の精度評価

米丸 亮1)4), 堀場 昌英1), 多田 敦彦2), 永井 崇之3)

1)国立病院機構東埼玉病院呼吸器科
2)国立病院機構南岡山医療センター呼吸器内科
3)大阪府立病院機構大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター結核内科
〒259-1132 神奈川県伊勢原市桜台2-17-1
4)神奈川県厚生連伊勢原協同病院内科

要 旨

抗酸菌群の迅速診断を目的として,リアルタイムPCRを用いたDNA検出法(コバスTaqMan®MTB,コバスTaqMan®MAI)が開発された.TaqManはDNA増幅と検出を同時に行うので,検査時間が大幅に短縮される.本研究ではTaqManとコバスアンプリコア®法の診断精度を比較検討した.塗抹陽性検体ではM. tuberculosisM. aviumM. intracellulareでTaqManとアンプリコアの結果は100%一致した.塗抹陰性検体を加えても一致率は,それぞれ99.1%,99.0%,99.7%と良好であった.アンプリコア陽性/TaqMan陰性の5検体中3検体は培養陽性,アンプリコア陰性/TaqMan陽性の12検体中10検体は培養陽性であった.アンプリコアでPCR不応の21検体中12検体ではTaqManの結果が得られ,培養結果と一致していた.これらよりTaqManはアンプリコアと同等以上の性能を有し,迅速診断法として抗酸菌群DNA検出に有用性が高いことが示唆された.

キーワード:結核菌, MAC, Real-time PCR, TaqMan法, 迅速診断

受付日:平成21年3月16日

日呼吸会誌, 47(12): 1070-1076, 2009