日本呼吸器学会雑誌 ONLINE JOURNAL

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Article in Japanese

症例

チャレンジテストにて確定診断したシクロフォスファミドによる早発性肺障害の1例

豊嶋 幹生1), 千田 金吾2), 須田 隆文2)

〒430-8525 静岡県浜松市東区将監町25
1)浜松労災病院呼吸器科
〒431-3192 静岡県浜松市東区半田山1-20-1
2)浜松医科大学第二内科

要 旨

症例は,59歳,女性.エストロゲン・プロゲステロン受容体・HER2いずれも陰性の乳癌手術後にシクロフォスファミド800 mg・アドリアマイシン80 mgによる化学療法を3コース終了2週間後より咳嗽,呼吸困難,発熱が出現した.胸部CT上中枢側優位に分布する汎小葉性ground-glass opacitiesを認め,気管支肺胞洗浄液中リンパ球16.8%,CD4/CD8 2.87,起炎微生物は検出されず,ステロイド投与により軽快した.本症例ではシクロフォスファミドを含む化学療法が必要であることおよびステロイド反応性が良好であったことから,文書にて十分なinformed consentを得たうえでシクロフォスファミド100 mg点滴によるチャレンジテストを施行したところ24時間後に一過性の低酸素血症を認め,シクロフォスファミドによる早発性肺障害と診断した.文献的考察を加えて報告する.

キーワード:シクロフォスファミド, 薬剤性肺炎, チャレンジテスト

受付日:平成20年12月17日

日呼吸会誌, 47(12): 1082-1086, 2009