日本呼吸器学会雑誌 ONLINE JOURNAL

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Article in Japanese

症例

胸痛にて発症した神経サルコイドーシスの1例

柳谷 典子, 小竹 美絵, 石塚 全, 岩崎 靖樹, 砂長 則明, 森 昌朋

〒371-8511 群馬県前橋市昭和町3-39-15
群馬大学大学院病態制御内科学呼吸器・アレルギー内科

要 旨

症例は60歳,女性.3カ月前から徐々に増悪する左前胸部から腋窩へかけての疼痛を主訴に近医受診したところ,胸部CTにて,縦隔リンパ節腫大を認めたため,精査加療目的で前医入院となった.ACEも上昇していたことから,サルコイドーシスが疑われたため当院紹介受診.気管支鏡検査施行し,肺胞洗浄液の所見および経気管支肺生検の組織からサルコイドーシスと診断した.また,FDG-PET CTで胸髄に集積を認めたため,胸椎MRI施行したところC7~Th8レベルの硬膜外と推測される部位に肉芽腫病変を認めた.この病変による脊髄圧排が,左前胸部から腋窩へかけての疼痛の原因と考えられた.ステロイド内服治療開始したところ,病変の縮小と疼痛の著明な改善を認めた.

キーワード:神経サルコイドーシス, 胸痛, 肉芽腫

受付日:平成21年1月26日

日呼吸会誌, 47(12): 1087-1092, 2009