日本呼吸器学会雑誌 ONLINE JOURNAL

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Article in Japanese

症例

Argon Plasma Coagulation(APC)焼灼によって2年間無再発であった気管支内扁平上皮癌の1例

河野 朋哉1), 李 信男2), 野原 淳2), 坂口 泰人1), 野口 哲男2), 寺田 泰二1)

〒526-8580 滋賀県長浜市大戌亥町313
1)市立長浜病院呼吸器外科
2)同 呼吸器内科

要 旨

症例は69歳,男性.主訴は血痰.初診時胸部単純レントゲン写真,胸部CTでは異常を認めなかったが,気管支鏡検査で左B1+2に結節を認め,生検にて扁平上皮癌と診断された.低肺機能であり,手術や光線力学的治療,腔内照射を拒否され,化学療法で左B1+2の結節は消失したが,9カ月後同部位の近傍から結節状の再発が認められた.再度の化学療法は無効であったため,Argon plasma coagulation(APC)を用いて腫瘍を2回焼灼した.その後2年間再発は認められなかった.APCは広範囲に焼灼できる反面,組織深部への深達距離が浅いので,擦過細胞診で確認しつつ,焼灼を繰り返し行えば,浸潤が浅い気管・気管支内の早期肺癌に対して有効であると考えられた.

キーワード:内視鏡的早期肺癌, 扁平上皮癌, 気管支鏡, APC, 焼灼

受付日:平成21年2月12日

日呼吸会誌, 47(12): 1093-1097, 2009