日本呼吸器学会雑誌 ONLINE JOURNAL

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Article in Japanese

症例

クギ誤嚥による気道内異物(3例)の検討

野原 淳1), 李 信男1), 野口 哲男1), 坂口 泰人2), 河野 朋哉2), 寺田 泰二2)

〒526-8580 滋賀県長浜市大戌亥町313番地
1)市立長浜病院呼吸器内科
2)市立長浜病院呼吸器外科

要 旨

気道内異物の多くは,食物,歯科関連物の頻度が多いが,クギの誤嚥は比較的珍しく,本邦では3例しか報告されていない.今回我々が新たに経験した3例のクギの気道内異物はすべて大工仕事時に生じたものだが,症状は軽度で誤嚥時の症状が軽度で記憶されていない場合もあった.このことは,クギの形状が細長いため,亜区域気管支レベルまで到達しても気道閉塞を起こさないため,気道内異物の症状が軽度であったと考えられた.また,防錆塗装がなされたクギは粘度の高い粘液で完全に覆われ,反応性肉芽は認められなかったが,塗装されていないクギは,確認時には錆びて膨化しており,反応性肉芽の中に埋まっていた.気道内に肉芽が出現した場合には,肉芽組織の縮小にcorticosteroidとtranilastの投与が有効であった.

キーワード:気道内異物, 釘, 肉芽組織, ステロイド, トラニラスト

受付日:平成21年2月16日

日呼吸会誌, 47(12): 1098-1102, 2009