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Article in Japanese

症例

骨髄異形成症候群による2次性肺胞蛋白症に播種性Mycobacterium abscessus感染症を合併した1例

浅井 友香里1)2), 大内 洋1), 大島 司1), 中野 龍治1), 山野 裕二郎1), 猪島 一朗2), 山内 拓司2), 福山 聡2), 井上 博雅2), 中西 洋一2)

〒806-8501 北九州市八幡西区岸の浦1-8-1
1)九州厚生年金病院
〒812-8582 福岡県福岡市東区馬出3-1-1
2)九州大学病院

要 旨

症例は27歳男性.遷延する発熱の原因精査目的にて平成19年8月に入院.胸部CTで両肺の多発小粒状影,斑状陰影を認め,気管支肺胞洗浄液中のリンパ球増加を認めた.特発性器質化肺炎などを疑ってステロイド投与し,一旦症状と肺異常影の改善を認めたがその後再燃した.確定診断のため胸腔鏡下肺生検を施行し,病理学的に肺胞蛋白症と診断した.また基礎疾患として骨髄異形成症候群の存在が判明した.抗GM-CSF抗体は陰性であり,骨髄異形成症候群に続発した2次性肺胞蛋白症と考えられた.術後はMycobacterium abscessusM. abscessus)による皮下膿瘍,髄膜炎を併発しコントロールに難渋した.骨髄異形成症候群に対して末梢血幹細胞移植を施行したが,移植片宿主相関病とM. abscessusによる敗血症を併発し移植87日後に死亡の転帰となった.

キーワード:2次性肺胞蛋白症, 骨髄異形成症候群, Mycobacterium abscessus, ステロイド薬, 末梢血幹細胞移植

受付日:平成21年4月13日

日呼吸会誌, 47(12): 1120-1125, 2009