日本呼吸器学会雑誌 ONLINE JOURNAL
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Article in Japanese
症例
セザリー症候群に肺小細胞癌を合併した1例
中西 雅樹2), 久保田 豊1), 原 洋1), 上田 幹雄2), 有本 太一郎2), 岩崎 吉伸2)
〒602-8026 京都市上京区釜座通丸太町上る春帯町355-5
1)京都第二赤十字病院呼吸器内科
〒602-8566 京都市上京区河原町通広小路上る梶井町465
2)京都府立医科大学呼吸器内科
要 旨
症例は69歳男性で,血痰を主訴に近医を受診.胸部X線・CT写真にて左肺腫瘤を指摘され当科に紹介された.入院後,気管支鏡検査を実施し肺小細胞癌と確定したが,入院時の血液検査所見や表在リンパ節腫脹から血液疾患合併も考え精査を行ったところ,セザリー症候群との診断を得た.以上よりセザリー症候群および肺小細胞癌の重複悪性腫瘍と考え,セザリー症候群に対し局所療法を,また肺小細胞癌に対しカルボプラチン+エトポシドによる治療を開始した.経過中,皮膚感染の合併はなく,化学療法4サイクル終了後,部分奏功を獲得した.セザリー症候群を合併した肺小細胞癌は極めて稀であり,さらに化学療法を安全かつ効果的に実施できた症例を経験したので報告する.
キーワード:肺小細胞癌, セザリー症候群, 化学療法
受付日:平成21年5月13日
日呼吸会誌, 47(12): 1135-1140, 2009