日本呼吸器学会雑誌 ONLINE JOURNAL

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Article in Japanese

症例

Lambert-Eaton筋無力症候群を合併した原発部位不明の小細胞肺癌の1例

金森 斎修1), 八幡 知之1), 大塚 今日子2), 今中 基雄1), 横田 一郎3)

〒669-1515 兵庫県三田市大原1314
1)国立病院機構兵庫中央病院呼吸器内科
2)神戸市立医療センター中央市民病院呼吸器内科
3)国立病院機構兵庫中央病院神経内科

要 旨

症例は58歳男性.2年前から両下肢の脱力を自覚し歩行障害が増悪,左眼瞼下垂も出現したため当院神経内科へ入院となった.筋電図検査によりLambert-Eaton筋無力症候群と診断された.胸部CTでは縦隔リンパ節腫大を認めたが肺野に腫瘍陰影は認めなかった.FDG-PETで縦隔リンパ節と左鼠径リンパ節の集積陽性所見を認め,左鼠径リンパ節生検により小細胞肺癌のリンパ節転移と診断,原発部位不明の進展型小細胞肺癌によるLambert-Eaton筋無力症候群であり,稀な症例と考えられた.小細胞肺癌に対する化学療法を行い臨床症状の改善を得た.迅速な診断と原疾患に対する治療が臨床症状の改善に有効であった.

キーワード:Lambert-Eaton筋無力症候群, 小細胞肺癌, 縦隔リンパ節, 陽電子放射線断層撮影法, 原発不明癌

受付日:平成21年5月20日

日呼吸会誌, 47(12): 1151-1155, 2009