日本呼吸器学会雑誌 ONLINE JOURNAL

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Article in Japanese

症例

自覚症状が自然軽快し,再燃時に経気管支肺生検で確定診断した血管内リンパ腫の1例

高橋 良平1)2), 西川 正憲1), 能美 夫彌子1), 草野 暢子1), 掛水 信将1), 石ヶ坪 良明2)

〒251-8550 神奈川県藤沢市藤沢2-6-1
1)藤沢市民病院呼吸器科
2)横浜市立大学大学院医学研究科病態免疫制御内科学

要 旨

70歳の男性.2007年5月からの発熱と寝汗とを主訴に当科を受診.身体所見に異常を認めないが,血液検査でCRP軽度上昇とLDH高値を認めた.可溶性インターロイキン2受容体(sIL-2R)が高値であり,悪性リンパ腫も鑑別に挙げて精査したが,自然に自覚症状および検査所見は改善した.2008年12月に発熱と寝汗とを再び認め,労作時呼吸困難も伴うようになったため,2009年1月に再受診.身体所見に異常を認めないが,CRP軽度上昇とLDH,sIL-2Rが高値であった.胸部X線写真では異常所見を指摘できないが,CTにて両側肺野のスリガラス影と脾腫を認めた.経気管支肺生検(TBLB)を施行し,血管内リンパ腫(IVL)の診断を得た.IVLなどの中・高悪性度非ホジキンリンパ腫では自然寛解は稀とされている.1年7カ月の間に発熱と寝汗とを繰り返し,自然寛解が示唆され,労作時呼吸困難を伴い,びまん性間質性陰影に対しTBLBにて確定診断した症例を経験したので報告する.

キーワード:血管内大細胞型B細胞リンパ腫, 肺, 経気管支肺生検

受付日:平成22年2月25日

日呼吸会誌, 48(11): 825-830, 2010