日本呼吸器学会雑誌 ONLINE JOURNAL

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Article in Japanese

症例

好酸球増多と間質性肺陰影を伴った血管免疫芽球性T細胞リンパ腫の1例

大村 春孝, 永田 忍彦, 若松 謙太郎, 南 貴博, 田口 和仁, 岡村 恭子, 小野 聡子, 片平 雄之, 槇 早苗, 赤崎 卓

〒837-0911 大牟田市橘1044-1
国立病院機構大牟田病院呼吸器内科

要 旨

76歳女性.呼吸不全にて紹介入院.CT上,両側多発性の間質性陰影と縦隔リンパ節腫脹があり,血液検査では炎症所見に乏しいが好酸球増多を認めた.診断がつく前に呼吸不全が急速悪化したためステロイドを投与した.症状・病変が消失したため退院となったが,4日後再発.気管支鏡検査施行するも診断に至らず病変は自然消失した.半年後再発.腋下リンパ節生検にて血管免疫芽球性T細胞リンパ腫と診断された.肺陰影も同リンパ球のびまん性増殖浸潤にて形成されたものと判断した.本疾患は稀な疾患であるが,呼吸不全が急速悪化して予後不良である.また臨床的に類似疾患との鑑別が難しく,診断には速やかなリンパ節生検を要する.

キーワード:血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL), 縦隔リンパ節腫脹, 好酸球増多, 間質性陰影

受付日:平成22年3月12日

日呼吸会誌, 48(11): 831-835, 2010