日本呼吸器学会雑誌 ONLINE JOURNAL
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Article in Japanese
症例
化学療法が奏効した多発性内分泌腺腫I型（MEN1）合併胸腺カルチノイドの1例
天野 寛之, 山田 高之, 重城 喬行, 黒田 文伸, 坂尾 誠一郎, 多田 裕司, 黒須 克志, 笠原 靖紀, 田邊 信宏, 滝口 裕一, 巽 浩一郎
〒260-8677 千葉県千葉市中央区亥鼻1-8-1
千葉大学医学部加齢呼吸器病態制御学
要 旨
症例は53歳男性．1994年に副甲状腺機能亢進症に対して副甲状腺摘出術施行，2002年3月に姉が多発性内分泌腺腫1型（Multiple Endocrine Neoplasia type1：MEN1）と診断され，本人も遺伝子診断を施行しMEN1と診断された．2009年7月健康診断にて右上縦隔腫瘤影を指摘され当院紹介された．胸部CT上は上縦隔に直径約4 cmの腫瘤影を認め2009年9月生検施行し非定型カルチノイドと診断された．多発骨転移を認めたため化学療法の適応と判断し，シスプラチン＋エトポシドを計4コース施行し，腫瘍径縮小率は30％，効果判定はPartial Response（RECIST ver1.0）であった．MEN1合併胸腺カルチノイドは手術加療による報告例はあるものの，化学療法単独治療が奏効したとする報告例はまれであり示唆に富む症例と考えられた．
キーワード：胸腺カルチノイド, 多発性内分泌腺腫I型, 化学療法
受付日：平成22年4月7日
日呼吸会誌, 48(11): 855-859, 2010
