日本呼吸器学会雑誌 ONLINE JOURNAL

書誌情報

 Full Text of PDF (873k)
Article in Japanese

症例

溶接工肺に合併した両肺尖アスペルギローマの1例

芦澤 洋喜1), 藤田 総文1), 伊波 奈穂1), 土屋 智義1), 吉富 淳1), 増田 昌文1), 影山 善彦2), 塚本 浩3), 須田 隆文4), 千田 金吾4)

〒424-8636 静岡県静岡市清水区宮加三1231
1)静岡市立清水病院呼吸器内科
2)同 呼吸器外科
3)同 放射線診断科
〒431-3192 静岡県浜松市東区半田山一丁目20番1号
4)浜松医科大学第2内科

要 旨

症例は30年間の溶接工職歴を持つ48歳の男性.2007年8月頃より血痰を認め,2008年5月になり血痰が増加したため当院を受診し,胸部CTで全肺野にびまん性微細粒状影,両肺尖部に菌球を認め,精査加療目的に入院した.気管支鏡検査を施行し,溶接工肺に合併した両肺尖アスペルギローマと診断した.6月中旬より抗真菌薬による内服治療を開始したが,7月中旬に喀血を認めた.気管支鏡検査で右上葉からの出血と診断し,右気管支動脈・肋間動脈塞栓術を施行した後,右上葉切除術を施行した.術後,9月初旬より再度血痰を認め,左上葉からの出血と診断し,10月中旬に左気管支動脈・肋間動脈塞栓術を施行して退院した.塞栓術施行後,血痰は認めなかった.溶接工肺に合併した肺アスペルギローマの症例は稀であり,文献的考察を加え報告する.

キーワード:溶接工肺, 塵肺, 肺アスペルギローマ, 真菌球, 喀血

受付日:平成22年4月13日

日呼吸会誌, 48(11): 860-865, 2010