日本呼吸器学会雑誌 ONLINE JOURNAL
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Article in Japanese
症例
健康な若年男性に発症した肺Mycobacterium peregrinum感染症の1例
澤幡 美千瑠, 萩原 恵里, 小倉 高志, 小松 茂, 関根 朗雅, 土屋 典子, 高橋 宏
〒236-0051 横浜市金沢区富岡東6-16-1
神奈川県立循環器呼吸器病センター呼吸器科
要 旨
症例は24歳男性．生来健康で特記すべき既往歴なく，喫煙歴もなし．湿性咳嗽，発熱を主訴に近医受診し，アジスロマイシン，レボフロキサシン内服後も咳嗽が持続し当院紹介受診となった．胸部CTにて両側上葉および右中葉に分布する気管支血管束周囲の多発小結節影および斑状影を呈し，経過中，喀痰量の増加や易疲労感の出現とともに陰影が増悪した．喀痰培養でMycobacterium peregrinumが2回検出され，本菌による肺感染症と診断して感受性結果に基づきクラリスロマイシン，レボフロキサシン，エタンブトールによる治療を開始した．症状，画像所見とも改善が得られ，治療継続9カ月後の現在，副作用の出現なく順調に経過している．肺Mycobacterium peregrinum感染症の報告はきわめて稀であり，特に健康成人に発症した報告は本症例が初めてである．今後もさらなる症例の蓄積が望まれる.
キーワード：Mycobacterium peregrinum, 肺感染症, 非結核性抗酸菌症, 結核
受付日：平成22年4月15日
日呼吸会誌, 48(11): 866-870, 2010
