日本呼吸器学会雑誌 ONLINE JOURNAL

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Article in Japanese

症例

上肺野優位の特異な肺病変を呈したレックリングハウゼン病の1例

西村 眞樹1), 河合 聖子1), 田中 博之1), 横江 徳仁1), 高橋 大輔1), 八木 健郎1), 久保 昭仁1), 馬場 研二1), 山口 悦郎1), 高橋 恵美子2), 横井 豊治2)

〒480-1195 愛知県愛知郡長久手町大字岩作字雁又21
1)愛知医科大学医学部内科学講座呼吸器・アレルギー内科
2)愛知医科大学病院病理部

要 旨

患者は72歳男性で,2007年2月頃よりH-JIII度の呼吸困難を呈し,当科を紹介された.胸部レントゲン写真とCTでは,上肺野優位の著明な線維化病変と両側胸水を認めた.肺機能は混合性障害を呈していた.その後2008年2月に左気胸を発症し,間もなく右気胸も併発した.一旦は改善するも,呼吸不全が進行し肺炎とCO2ナルコーシスのために再入院した.呼吸不全の改善を果たせず,2008年9月に死亡された.肉眼剖検所見は,両側肺尖部に強い胸膜の線維性癒着と肺実質の線維性硬化像であり,気管支と細気管支の拡張を伴っていた.顕微鏡的には器質化細気管支炎および器質化肺炎が中核病変であった.既報のvon Recklinghausen病に伴うびまん性肺病変は,線維化と気腫性変化が主体であり,本例の病理像はそれら既知の疾患範疇に分類されない特異な組織像であった.

キーワード:Recklinghausen病, 器質化肺炎, 器質化細気管支炎

受付日:平成22年4月27日

日呼吸会誌, 48(11): 871-875, 2010