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Article in Japanese

原著

急速に進行する間質性肺炎に対する抗凝固療法併用の有効性についての検討

渡辺 憲弥1), 田島 俊児1), 田中 淳一1), 森山 寛史1), 中山 秀章1), 寺田 正樹1), 高田 俊範1), 鈴木 栄一2), 成田 一衛1)

〒951-8510 新潟県新潟市中央区旭町通一番町757
1)新潟大学大学院医歯学総合研究科内部環境医学講座呼吸器内科学分野
2)新潟大学医歯学総合病院医科総合診療部

要 旨

急速に進行する間質性肺炎に対する抗凝固療法併用の有効性を後ろ向きに検討した.1999年4月から2010年1月までに当科に入院した特発性または続発性の間質性肺炎で,2カ月以内に呼吸不全が進行する症例を急速に進行する間質性肺炎と定義した.対象は20例で,基礎疾患はnon-IPF 6例,IPF 3例,Amyopathic DM(ADM)6例,DM 2例,RA 2例,MCTD 1例であった.治療に抗凝固療法を併用した群をA群(n=11),非併用群をB群(n=9)として比較検討した.Kaplan-Meier法で,A群に有意な生存期間の延長が認められた(p=0.0389).急速に進行する間質性肺炎では,抗凝固療法の併用により予後が改善し得る可能性が示唆された.

キーワード:抗凝固療法, 低分子へパリン, ワルファリン, 急速に進行, 間質性肺炎

受付日:平成22年4月2日

日呼吸会誌, 49(6): 407-412, 2011