日本呼吸器学会雑誌 ONLINE JOURNAL

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症例

家族性間質性肺炎の一家系

岡本 師1), 宮崎 泰成1), 根井 雄一郎1), 玉岡 明洋1), 角 勇樹1), 武村 民子2), 稲瀬 直彦1)

〒113-8519 東京都文京区湯島1-5-45
1)東京医科歯科大学呼吸器内科
2)日本赤十字社医療センター病理部

要 旨

症例(発端者)は71歳男性,非喫煙者.65歳時に慢性咳嗽で発症し特発性間質性肺炎と診断された.咳嗽と労作時呼吸困難が持続するため当科に入院となり,ステロイド療法を開始したが2カ月後に急性増悪により死亡した.家族歴に間質性肺炎を発端者含め兄弟7人中4人に認め,発端者の息子3人も後に間質性肺炎と診断された.発症者は全例男性であり,6人に喫煙歴を認めた.診断時の平均年齢は発端者の世代で66.5歳であったのに対し,息子の世代では45.3歳と若年であった.胸部CT所見は世代により差があり,発端者の世代は胸膜下に牽引性気管支拡張や蜂巣肺を認めたが,息子の世代では小葉中心性粒状影や小葉内網状影を認めた.息子3人のサーファクタントプロテインC遺伝子に2カ所の一塩基多型を認めた.

キーワード:家族性間質性肺炎, 一塩基多型, サーファクタントプロテイン

受付日:平成22年8月2日

日呼吸会誌, 49(6): 419-425, 2011