日本呼吸器学会雑誌 ONLINE JOURNAL

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Article in Japanese

症例

IgG4陽性形質細胞の浸潤を認めたmulticentric Castleman病の1例

生越 貴明, 矢寺 和博, 長田 周也, 西田 千夏, 山崎 啓, 川波 敏則, 石本 裕士, 吉井 千春, 迎 寛

〒807-8555 北九州市八幡西区医生ヶ丘1-1
産業医科大学医学部呼吸器内科学

要 旨

症例は42歳,女性.全身倦怠感,労作時呼吸困難が出現したために2009年10月に近医を受診.貧血及び胸部X線写真にて両側のすりガラス影を認めたため当科紹介となった.血液検査では多クローン性高ガンマグロブリン血症を認め,また血清IL-6値と血清IgG4値はともに高値を示した.胸部CTでは肺門・縦隔リンパ節腫脹及び両側びまん性の小葉中心性小粒状影,結節影,小葉間隔壁の肥厚を認めた.診断のために胸腔鏡下肺及び縦隔リンパ節生検を行ったところ,病理組織所見では気管支血管周囲にリンパ濾胞形成と形質細胞浸潤を認めmulticentric Castleman病(MCD)に合致する所見とともに,IgG4陽性形質細胞の浸潤も多数認めた.本症例は血清IL-6が高値で強い炎症反応を認めており,臨床像,病理像からMCDの病態に近いと考えられたが,IgG4関連肺疾患の合併も否定できず,両疾患の関連性が示唆される症例と考えられた.

キーワード:IgG4関連肺疾患, Castleman病

受付日:平成22年11月1日

日呼吸会誌, 49(6): 437-442, 2011