日本呼吸器学会雑誌 ONLINE JOURNAL

書誌情報

 Full Text of PDF (626k)
Article in Japanese

症例

ベトナムから帰国後空洞病変で発症し,再燃時多発肺結節を認めたメリオイドーシスの1例

倉田 季代子1), 貫井 義久1), 島田 裕之1), 井上 幸久1), 吉村 信行1), 堀野 敦子2)

〒254-8502 神奈川県平塚市追分9-11
1)平塚共済病院呼吸器科
2)国立感染症研究所細菌第二部

要 旨

症例は69歳男性.糖尿病にて内服加療中.2009年9月,ベトナムから帰国後,右上葉に空洞形成を伴う肺炎に罹患した.肺結核との鑑別を要したが,約1カ月間の抗菌薬の投与にて改善した.数カ月後に再び発熱を生じ,CT上多発肺結節影を認め当院に入院となった.血液および画像所見から,敗血症性肺塞栓,右腰部皮下膿瘍,脾膿瘍,腎膿瘍,右脛骨骨髄炎,DICと診断した.皮下膿瘍からの膿及び血液培養にてBurkholderia pseudomalleiが同定されたためメリオイドーシスと診断した.メロペネム(Meropenem;MEPM)による初期治療を8週間,さらに経口抗菌薬による6カ月間の維持療法を行い,治療終了後数週間が経過したが,現在のところ再発は認めず経過は良好である.本邦では輸入感染症として本例が9例目の報告である.

キーワード:メリオイドーシス, Burkholderia pseudomallei, 肺炎, 空洞影, 敗血症性肺塞栓

受付日:平成22年11月1日

日呼吸会誌, 49(6): 443-448, 2011