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Article in Japanese

症例

Lemierre症候群の1例

内藤 亮1)2), 重城 喬行2), 黒田 文伸2), 小園 高明2), 櫻井 隆之2), 巽 浩一郎2)

〒260-0852 千葉市中央区青葉町1273-2
1)千葉市立青葉病院呼吸器内科
〒260-8670 千葉市中央区亥鼻1-8-1
2)千葉大学医学部呼吸器内科

要 旨

症例は20歳男性.発熱・右頸部違和感・胸痛,胸部X線写真での浸潤影に対してセフェム系抗菌薬処方されるも改善せず,当科紹介受診.胸部CTでは空洞を伴う多発結節影を認め,敗血症性肺塞栓症が疑われた.レボフロキサシン(Levofloxacin;LVFX)与薬にても改善が得られず当科入院.血液培養にて嫌気性菌であるFusobacterium necrophorumを検出した.また右頸部違和感に対して頸部造影CTを施行,右内頸静脈内血栓を認めた.以上の所見よりLemierre症候群と診断し抗菌薬を変更,また抗凝固療法を併用した.炎症所見の改善は得られたが内頸静脈内血栓は残存した.頸部痛を伴う肺の多発性結節影を認める感染症として,Lemierre症候群も考慮すべきと考えられた.

キーワード:レミエール症候群, フソバクテリウムネクロフォルム, 血栓性静脈炎

受付日:平成22年11月22日

日呼吸会誌, 49(6): 449-453, 2011