日本呼吸器学会雑誌 ONLINE JOURNAL
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Article in Japanese
症例
尿中抗原陰性でBALFよりニューモフィラ血清型1が培養されたレジオネラ肺炎の1例
石黒 卓, 高柳 昇, 鮫島 つぐみ, 米田 紘一郎, 柳澤 勉, 杉田 裕
〒360-0965 埼玉県熊谷市板井1696
埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科
要 旨
症例は39歳男性.頭痛,発熱を主訴に近医を受診,肺炎の診断で当センターを紹介受診した.咳嗽,喀痰はなかった.胸部CT検査では両肺に斑状,多発性のすりガラス状陰影を認めた.肺炎球菌およびレジオネラ尿中抗原は陰性であった.発熱の数日前に温泉への入浴歴があり,低リン血症を伴っていたことからレジオネラ肺炎を疑った.気管支肺胞洗浄液よりレジオネラニューモフィラ血清型1が培養され,抗菌薬投与により軽快,退院した.レジオネラ尿中抗原検査はレジオネラニューモフィラ血清型1を検出する検査法として知られている.本検査の感度は60~90%,特異度は99%以上と報告されているが,本症例のようにレジオネラ尿中抗原陰性のレジオネラニューモフィラ血清型1による肺炎があることに注意する必要がある.本症例ではレジオネラ肺炎の診断において気管支肺胞洗浄検査が有用であった.
キーワード:レジオネラ, 尿中抗原検査, 気管支肺胞洗浄, 診断, 肺炎
受付日:平成22年11月22日
日呼吸会誌, 49(6): 454-457, 2011