日本呼吸器学会雑誌 ONLINE JOURNAL

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Article in Japanese

症例

胸腔鏡下肺生検で類上皮細胞性肉芽腫を認めたメシル酸イマチニブの薬剤性肺障害の1例

小出 卓1), 皿谷 健1), 中本 啓太郎1), 中島 明1), 石井 晴之1), 藤原 正親2), 柴田 英克3), 岡 輝明4), 呉屋 朝幸3), 後藤 元1)

〒181-8611 東京都三鷹市新川6-20-2
1)杏林大学医学部付属病院呼吸器内科
2)同 病院病理部
3)同 外科(呼吸器・甲状腺)
4)関東中央病院病理科

要 旨

症例は79歳男性,慢性骨髄性白血病の診断でメシル酸イマチニブ(グリベック®)の内服を開始後272日目より咳嗽,微熱,呼吸困難が出現し薬剤性肺炎と診断された.HRCT上はびまん性に広がる小粒状影とスリガラス影であり,小粒状影を呈する部位より経気管支肺生検,胸腔鏡下肺生検を施行した.胸腔鏡下肺生検では画像上,小葉構造と無関係に分布した小粒状影に一致して類上皮細胞性肉芽腫,器質化病変を認め,それらの多くは細気管支周囲から離れた肺胞腔内に分布していた.本症例は休薬のみで自然軽快した.

キーワード:メシル酸イマチニブ, 胸腔鏡下肺生検, 薬剤性肺障害, 類上皮細胞性肉芽腫

受付日:平成22年12月9日

日呼吸会誌, 49(6): 465-471, 2011