セッション名 | 気管支喘息 呼吸生理 |
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【背景】高齢者喘息では末梢気道の関与が大きいことなどが想定されているが,実際の検討は少ない.【方法】胸部MDCTを施行した65歳以上の高齢喘息患者42名(女性31,平均罹病期間14.4年)と59歳以下の非高齢患者39名(25,10.6年)をretrospectiveに比較した.スパイロメトリー,Impulse oscillometry(IOS),MDCTの中枢気道,末梢気道病変(平均肺野濃度[MLD]とLAA%で評価したair trapping),呼気NO濃度,誘発喀痰所見,総・特異的IgE値などを解析した.【結果】高齢群は非高齢群と比較して,%FEV1は同等であったが(87.0% vs 87.5%),%FVC,%MMFが有意に低値であり,IOS指標では有意にR5-R20,AXが高値,X5が低値であった.R5,R20には差はなかった.CT指標では,高齢群で有意に中枢気道壁が厚く,呼気LAA%とLAA%呼気吸気比(LAA%E/I)が高値,呼気MLDが低値,MLD E/Iが高値と,非高齢群に比しair trappingが強かった.喀痰好酸球・好中球%,呼気NO濃度,気道過敏性(Dmin)は同等であった.高齢群で有意に総IgE値が低値で,スギ,ネコ,イヌのRAST陽性率が低かった.【結論】高齢者喘息では,非高齢者と比較して末梢気道病変が顕著に認められる.