一般社団法人日本呼吸器学会
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学術講演会抄録集

セッション名 気管支喘息 呼吸生理
PP418
 
Impulse oscillometryによる共振周波数は喘息末梢気道病変の指標になりうるか?
田中裕士,北田順也,藤井 偉,高橋弘毅(札幌医科大学内科学第三講座)

【目的】喘息末梢気道狭窄を外来診療でモニターする目的で,impulse oscillometry(IOS)の中で有用な指標を見つける.【対象】札幌医大を受診した安定期成人喘息68名(男36名,女32名,平均年齢59±15歳)を対象とした.【方法】IOSの指標は5Hz,20Hzでの呼吸抵抗(R5,R20),5Hzでのリアクタンス(X5),リアクタンスが0の共振周波数(Fres)で,IOSと同日に行った呼吸機能とN2法によるクロジングボリュームとの相関,回帰分析を行った.【結果】IOSの指標の中で最も多くの指標と,より強い相関が認められたのはFresで次にR5-R20あった.有意であった(p<0.01)相関係数はFresとFEV1(r=-0.73),FresとFEF25-75(r=-0.61),FresとRV/TLC(r=0.49),FresとdeltaN2(r=0.52),R5-R20とFEV1(r=0.59),R5-R20とRV/TLC(r=0.47)であった.回帰分析ではFresとFEV1の間でr2=0.529と最も信頼できる計算式が得られた.また,2回以上経過で測定された例のみの検討では,Fresの変化量とdeltaN2の変化量の間には直線の相関が認められ,経過観察にも有用であることが示された.【結論】IOSの指標の中で最も末梢気道病変を示す指標候補としてはFresおよびR5-R20であることが示された.

日本呼吸器学会雑誌 第48巻増刊号 p.240(2010)