一般社団法人日本呼吸器学会
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学術講演会抄録集

セッション名 COPD 治療1
PP275
 
スピリーバの短期治療効果を予測する因子
塩田直樹,大西広志,山根 高,荒川 悠,穴吹和貴,井坂真由香,岩部直美,酒井 瑞,窪田哲也,横山彰仁(高知大学血液呼吸器内科)

 背景:COPDの薬物療法においてチオトロピウムが第一選択薬として用いられているが,その治療効果を予測する因子は明らかでない.目的:チオトロピウムのFEV1改善効果を予測する因子を明らかにする.対象:未無治療のCOPD患者で新たにチオトロピウムによる治療を開始した21例(男性18名 女性3名)方法:チオトロピウムの投与開始前に可逆性試験を含めた肺機能検査および誘発喀痰を行った.投与開始2~3ヶ月後に肺機能検査を再検し,FEV1の変化量(ΔFEV1)と各因子との相関を検討した.結果:予想に反し,喀痰中の好中球や好酸球の割合はΔFEV1と相関を認めなかった.一方,本対象例では体重およびBMIはΔ FEV1と有意な相関関係を認め,BMIの少ない症例,体重の小さい症例でFEV1のより大きな改善が認められた.治療前のβ刺激剤を用いた可逆性試験におけるFEV1の変化量はスピリーバ治療前後のFEV1の変化量と有意な正の相関(rs=0.647 p=0.020)を示した.考察:β刺激剤による気流制限の改善は,チオトロピウムの短期治療効果を予想する因子になり得る.またチオトロピウムによる短期治療効果は,体重やBMIにより異なる可能性が示唆された.

日本呼吸器学会雑誌 第49巻増刊号 p.(2011)